「社会人が独学で宅建って、正直きつくない?」
そう思ってる人、めちゃくちゃ多いと思う。
仕事しながら勉強時間を確保して、合格率15〜17%の試験に受かる。数字だけ見るとハードルが高く見える。
でも結論だけ先に言うと、独学でも社会人でも、ちゃんと受かる。
僕は宅建を3回受験して、38歳の時に40点で合格した。1回目は22点。2回目は29点。恥ずかしい話だけど、3回かかった。
「天才的な記憶力があった」とか「毎日5時間勉強した」という話じゃない。勉強の戦略を変えただけだ。
この記事では、3回受験してようやく気づいた「科目別の取捨選択」という考え方と、実際に使ったツールを正直に書いていく。
この記事で分かること:
- 3回受験して気づいた「合格できない人が陥る共通の罠」
- 宅建業法・法令制限・権利関係の配点を活かした合格戦略
- 独学で実際に使ったツール3つ(無料2つ+書籍1冊)
僕は現在、合同会社シェアリアルの代表として主にシェアハウスの管理・運営業を営んでいる宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士。資格を取ってから、用途地域や法令上の制限を根拠として持ったうえで提案できるようになった。
なぜ宅建を取ろうと思ったのか
物件管理の仕事をしているのに今さら宅建?と思われそうだけど、理由はシンプルだ。
シェアリアルは仲介業務をやっていないので、宅建は「業務上の必須資格」ではなかった。じゃあなぜ取ったかというと、「代表」より「代表兼宅建士」のほうが、物件オーナーさんへの信頼感が変わると思ったから。
「宅建士として言えば」という一言があるかないかで、提案の重みがぜんぜん違う。資格って、実務能力の証明というよりは、プロとしての信頼を見える化するツールだと思っている。
ちなみに父が一級建築士なので、建築・不動産は子どものころから身近な存在ではあった。でも「法的な知識があったか」というと、まったくそんなことはない。
大学は法学部だったんだけど、宅建に出てくる権利関係の内容——借地借家法とか区分所有法とか——は、法学部の授業ではほぼ扱わない。「法学部なら有利」というのは半分幻想で、宅建の試験という意味では、ほぼゼロ知識からのスタートだった。
3回受験の記録:22点→29点→40点

正直に書く。3回かかった。
1回目:22点
シンプルに、戦略がなかった。
テキストを一通り読んで、過去問を数年分解いた。それだけ。合格ライン(35〜36点)に13〜14点も足りない完敗だった。
2回目:29点
7点上がったけど、まだ合格ラインに届かない。
このとき宅建業法の配点が大きいことは知っていた。全50問のうち20問(40%)が宅建業法。それは分かっていた。
でも、分かっていても取り切れなかった。
もう一つ、致命的な甘えがあった。「法学部出身だから、権利関係は日本語の問題として何とかなるんじゃないか」という思い込みだ。権利関係は14問あって、毎年受験者が苦しむセクション。「得意な分野で稼ごう」と思っていたくせに、実際には全然解けなかった。
3回目:40点(合格)
転機は、自分の敗因をちゃんと分析したことだった。
業法が重要なのは分かってた。でも「なぜ取れなかったのか」を突き詰めたら、「完璧にしようとしていなかった」という事実が見えてきた。「だいたい分かってる」レベルでは、本番で崩れる。
そして権利関係への過信を完全に捨てた。次のセクションで詳しく書く。
合格の決め手:科目別の「取捨選択」戦略

宅建試験は全50問で、こんな内訳になっている。

- 宅建業法:20問(全体の40%)
- 法令上の制限:8問(全体の16%)
- 権利関係:14問(全体の28%)
- 税・その他:8問(全体の16%)
合格点は例年35〜36点前後なので、50問中35問、正解率70%が目安だ。
ちょっと計算してみると、宅建業法20問を9割取れば18点。法令上の制限8問を7割取れば5〜6点。この2科目だけで23〜24点になる。残りの権利関係+税その他22問を5割取れば11点。合計で34〜35点、合格ラインに届く計算だ。
つまり、宅建業法と法令上の制限をしっかり仕上げれば、権利関係で多少崩れても合格できる。
なぜ業法は「取り切れる」のか
宅建業法と法令上の制限の最大の特徴は、暗記と理解で高得点を狙えること。毎年出題されるテーマがだいたい決まっていて、改正点を押さえれば点が取りやすい。
一方、権利関係(特に民法)は応用問題が多くて、「条文を知っていても解けない」ことがある。難易度のばらつきも大きい。
2回目まで僕は業法を「ある程度理解している」で止めていた。3回目は「一問も落とさない」という意識に変えた。この意識の差が大きかった。
「法学部だから権利関係は有利」という罠
法学部出身者にありがちな落とし穴を一つ言っておくと、「民法は少しやったから権利関係は何とかなるだろう」という思い込みがかなり危ない。
宅建の権利関係には、借地借家法・建物区分所有法・不動産登記法など、法学部の普通の民法講義ではほぼ扱わない内容が含まれている。「日本語として何となく読める」と「正確に点が取れる」は、別の話だ。
僕はこの思い込みで2回を棒に振った。法学部出身の人こそ、気をつけてほしい。
独学で実際に使ったツール3つ

戦略が決まったら、あとはツールだ。使ったのはシンプルに3つ。
① 棚田行政書士の不動産大学(YouTube)
宅建の勉強をするなら一度は見てほしいチャンネル。
このチャンネルの一番の特徴は、覚え歌の豊富さにある。
35条書面・37条書面の記載事項、盛土規制法、供託金・保証協会、建築基準法、国土利用法……暗記が必要なポイントがリズムに乗って頭に入ってくる。これが意外と効いて、試験本番でも「あの歌の歌詞はなんだったっけ」と脳内再生できる。
覚え歌だけじゃなくて問題解説動画も多くて、間違えやすいポイントを先回りして解説してくれる。チャンネルの歴史もそれなりにあるので、情報の蓄積量と信頼感が違う。
動画形式なので流しながら勉強できる。社会人のながら勉強との相性が抜群だった。
② 独学TODAYアプリ(無料)
宅建の過去問を一問一答・四択形式で解けるスマホアプリ(基本無料)。
電車の中、信号待ち、昼休みのちょっとした時間——スキマ時間を積み重ねる勉強には最高だった。
一つだけ意識してほしいのが、答え合わせの後に解説をちゃんと読むこと。
「丸だった、次」で進めてしまうと、偶然正解しただけの問題が積み上がっていく。なぜ正解なのか、なぜ他の選択肢は違うのかを理解して、はじめて使える知識になる。面倒くさいけど、ここを省くかどうかが合否を分ける気がする。
③ 出る順宅建士 当たる!直前予想模試(書籍)
試験の1〜2ヶ月前から、LECの「出る順宅建士 当たる!直前予想模試」を使った。
使い方はシンプルで、「間違えた問題→解説を読む→棚田動画で該当テーマを補強する」の3ステップを繰り返すだけ。
模試テキストを解くと、アプリだけでは気づかなかった弱点が見えてくる。アプリと書籍で出題形式を変えることで、知識の定着度を多角的に確認できた。
社会人の現実的な勉強スタイル

「毎日2〜3時間勉強しましょう」ってよく見るけど、仕事しながらそれが毎日続くかというと、現実はなかなか難しい。
僕がやっていたのは、試験の半年前から独学TODAYアプリで「1日10〜20問」のペースでゆるく始めること。仕事が忙しい日は3問でもいい。とにかく毎日触れることを優先した。
で、直前の1ヶ月で一気にギアを上げた。棚田動画で弱点科目を集中補強して、直前模試テキストで総仕上げをする。
「ゆるい助走+直前1ヶ月の猛烈な追い込み」というペースが、社会人には一番現実的だと思っている。
ながら勉強で十分だった
テキストを机に広げないといけない、という思い込みを捨てていい。
動画を流し聞きして、アプリで過去問を解く——それだけで合格レベルまで持っていけた。机に向かった時間の長さよりも、どれだけ知識に触れて間違いを潰したかの方が、ずっと大事だった。
宅建に合格して変わったこと
合格して変わったことは、仕事の話だけじゃない。
街を歩いていると、「ここは低い建物が多いな。第一種低層住居専用地域かな」とか、「この道路から引いてある敷地、これがセットバックか」とか、普段の景色が違って見えるようになった。
宅建の勉強って、日本の街づくりのルールを学ぶことでもあって、合格後にそれが実感できるのが個人的にはちょっと面白かった。
仕事面では、用途地域や法令上の制限を根拠として持って提案できるようになった。「この物件はシェアハウスに向かない」「ここならこういう展開もできる」という言葉に、裏付けが生まれた。オーナーさんへの提案の幅も格段に広がっている。
独学の弱点:「質問できない」問題とその対策
正直に言うと、独学で一番きつかったのは「質問できないこと」だった。
棚田動画を見て、アプリで問題を解いて、それでも「なぜこの解釈になるのか」が腑に落ちない場面が何度もあった。聞ける相手がいれば10分で解決する疑問が、1人だと1時間考えても宙ぶらりんのまま、ということが結構あった。
「質問できる環境があれば、2回目で受かっていたかも」とは今でも思う。
書籍はケチらない
直前模試テキストは必ず1冊買って手元に置くことをおすすめする。解説の質が出版社によって違うので、できれば書店でパラパラめくって「解説が丁寧なもの」を選んでほしい。
僕が使ったのはLECの「出る順宅建士 当たる!直前予想模試」。模試3回分+解説が充実していて使いやすかった。
Q&Aサポートつきのオンライン講座という選択肢
「質問できないのは不安」という人には、Q&Aサポートがついているオンライン講座を選ぶのも正直アリだと思う。
費用は2〜3万円前後のものが多いけど、「わからないまま放置」がなくなる安心感は、3回受験した身からすると十分に価値がある。
| 独学(棚田+アプリ) | オンライン講座 | |
|---|---|---|
| 費用 | ほぼ0〜2,000円 | 2〜3万円前後 |
| 質問できる | × | ○ |
| 自分のペースで進められる | ○ | ○(多くが動画形式) |
| 向いている人 | コストを抑えたい・自己管理できる人 | 質問環境が欲しい・初受験で不安な人 |
お金をかけたくないなら独学でいける。不安な人は質問環境のあるサービスを選ぶべきだと思う。どちらが正解かは、自分の性格次第だ。
よくある質問 Q&A
Q. 独学で本当に合格できますか?
できる。ただし「戦略を持った独学」が前提になる。テキストを漫然と読むだけでは厳しい。宅建業法に特化して高得点を狙う方針さえ持てれば、独学でも合格ラインには届く。
Q. 何ヶ月勉強すれば受かりますか?
僕の場合は半年前からゆるくスタートして、直前1ヶ月で追い込んだ。一般的には300〜400時間が目安とされているけど、効率的にやれば200時間台でも合格できると思う。総時間より、学習の質と取捨選択の方が大事だった。
Q. テキスト(参考書)は必ず必要ですか?
僕は棚田YouTube+独学TODAYアプリを中心にして、直前模試テキスト1冊だけ使った。分厚い参考書は買わなかった。ただ「なぜこの解釈になるのか」を深く理解したい場面では、テキストがあると助かることはある。
Q. 法学部出身は有利ですか?
半分有利で、半分罠だと思う。権利関係で法的な文章に慣れているのはプラスになる。でも「権利関係は何とかなる」という過信は禁物で、借地借家法・区分所有法などは宅建固有の内容としてしっかり勉強が必要だ。僕は2回目をこの罠で棒に振った。
Q. 何回目で合格する人が多いですか?
一発合格者は合格率と同じくらい(15〜17%前後)なので、多くの人が2〜3回は受けている印象だ。大事なのは「なぜ落ちたか」を分析して戦略を変えること。同じやり方で受け続けても結果は変わらない。
まとめ
3回受験して気づいたことを、最後に3点でまとめる。
宅建業法を完璧に仕上げることが最優先。全体の40%を占める業法を9割取ることが合格への最短ルートで、「だいたい分かる」ではなく「一問も落とさない」レベルを目指すべきだ。
権利関係への過信は捨てる。法学部出身でも語感で解けるほど甘くない。権利関係は「5〜6割でいい」と割り切って、業法と法令制限の高得点でカバーする設計で組む。
ながら勉強を制する。棚田YouTubeを流し聞きして、スキマ時間に独学TODAYで問題を解く。社会人の勉強は「毎日机に向かう」より「毎日知識に触れる」の方が現実的だった。
宅建は、正しい戦略と適切なツールさえあれば、独学でも十分に合格できる試験だ。
「やりたいなら、まずやってみることが大事」——これが、3回受験してようやく合格した僕の率直な感想だ。今年の試験日(例年10月第3日曜日)まで、まだ十分に時間はある。


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